庭の秋

 私の場合今年の紅葉は八甲田のそれに尽きる。ロープウエイから俯瞰した前岳の大裾に広がる紅葉の海も、酸ヶ湯の湯煙を取り囲むように燃えていた赤や黄色の一本一本を仰いだ山肌も見事という他はなかった。
 オーニングやなにやかやを収納しながらふっと紅葉が目に入った。我が家の庭の桜紅葉である。
 近寄って見ると街の空気の影響か灼けたように縮れたようになってはいるが一葉一葉の色はまさしく秋を装っている。一本の木の紅葉もいいものだ。ななかまどは終わりに近く、どうだんつつじはこれからだ。灯台もと暗しになりがちだが我が家の庭の秋も見届けねば。
    山紅葉応えて庭の細桜    未曉