2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

青胡桃

堅くなる夜はあといくつ青胡桃 未曉

牛はモウいない(3)

私の教室は北の隅、前述した茶道室の二階にあった。入学当初出席番号順に座らせられたから伊藤の私は6番目、窓際の一番後ろの席だった。大好きな座席だった。それ以降も担任がおおらかで座席は生徒にまかせたから、ほとんど外が見えるこの窓際あたりで過ご…

牛はモウいない(2)

放課後、生徒玄関を出ると、校舎の裏へ回る。北隅にある茶道室の窓下を曲がると途端に田舎の風景になる。草茫々ではないけれど校舎の前面のきれいに手入れされたたたずまいではない。池のようなものはあるが整備されているわけでもない。しかし田舎感を醸し…

牛はモウいない(1)

「牛はモウいない」 「牛はモウいない」これは60年前函館東高校新聞局が発行した「青雲時報」の裏面記事に当時の局長が付けた見出しである。この局長私の一歳年上ながら大人というか老成しているところがあり、高校ジャーナリズムのなんたるかも考えられな…

冷や奴

冷奴先刻のうれひなんだつけ 未曉

水羊羹

つば広の帽子の陰や水羊羹 未曉

夏の蝶

夏蝶や下北遠く再た花へ 未曉

飯子菜

飯子菜や空腹といふ戦災児 未曉

鋸草

鋸草野性目覚めし放牧馬 未曉

べこ餅

べこ餅をいただいた。東北、北海道の物と言われるがそういう物は歳時記に載らない。 私が小さいときは祖母と母は端午の節句には必ず作った。私の上では柏餅と同じように五月の食べ物で夏の季語になる。 思いがけなくいただいてその仄かな甘さを美味しく食べ…

庭常

にはとこの実のしゃしゃり出て紅し 未曉

実玫瑰

実玫瑰闘ふごとく朱を帯び 未曉

石竹

石竹や待つともなしの人の声 味曉

星涼し

お喋りと別れて家路星涼し 未曉

汗拭い

「汗拭い」ハンカチのことだが私が高校生の頃までは文字通り汗拭いで、手拭いを二つ折りにして腰のバンドに掛けていた。それが何時しか格好悪いからかみんなの腰から消え、白いハンカチとなってポケットから出てくるようになると私の腰からも消えた。そして…

仙人掌の花

兼題「仙人掌の花」習作 仙人掌のとってつけたる花で咲き 未曉

薯(じゃがいも)の花

薯の花海越ゆる鳥影も無し 未曉

待宵草

函館で最も小さな自治会として30年続いたききょうの里自治会が昨日終わった。解散は一月だったが残務がいろいろあり、余った多少のお金がゼロになって実質昨日終わった。 理由は高齢化による活動萎縮と役員後継の困難さによる。だからといって今日の明日「…

胡瓜の花

三坪の菜園今朝の花胡瓜 未曉

待宵草

昼顔も待宵草も籠もり居も 未曉

蛍袋

蛍袋自粛の昼の夢見がち 未曉

白牡丹

白牡丹に蟻一匹の重さかな 未曉

胡瓜

初胡瓜双手に折て食らふべし 未曉

団扇

席題「紙コップ」 父さんの団扇風来る糸電話 未曉

さくらんぼ

掌は染みひとつなしさくらんぼ 未曉

さくらんぼ

さくらんぼ臆せずに出す皺の指 未曉

馬鈴薯(薯)の花

何年前だろう、札幌からの帰りが遅くなり豊浦へ抜ける道が真夜中になった。花和のあたりにさしかかったとき周り一面が馬鈴薯の花盛りで真っ白になっているのに気がついた。広さを味わいたくて車を停め、ライトを消して外へ出た。すると空一面の星空だった。…

蚯蚓

行き先のわからぬ様に蚯蚓干せ 未曉

夏座敷

この頃なんの脈絡もなく唐突に昔のことを思い出す。昨日、畳の部屋を茶殻で掃いていたことを思い出した。 我が家が家を建て、就職するまで10余年過ごした家は十畳ほどの板の間(フローリングではない)と四畳半、六畳、三畳の小部屋二つがあった。三畳の一…