2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧
病床へ着替えの中のりんごかな 未曉
焼酎を浴びし柿の夜秋熟るる 未曉 昔母の実家山形鶴岡から庄内柿が箱詰めで送られてきた。必ず渋いままだった。一たん開けて焼酎を振りかけ又閉じられる。渋味が甘さに変わるまで待てという｡この何日かが子どもの私に長かった。
ぶどうふふむ話せぬ一語種を持ち 未曉
初冠雪ほほけし赤のちんぐるま 未曉
荻の声前に後ろに七曲がり 未曉
初給料下宿の婆のとろろ汁 未曉
昇り咲く朝顔幾条雨幾条 未曉
秋分や兄は少年野球団 未曉
箸の腕に患者標識栗ご飯 未曉
水に空にもののとんがりみな蜻蛉 未曉
月に濡れかわくまもなし茸狩り 未曉
雨ぷつんぷつんと上がり秋の虹 未曉 目指すごとフロントガラス秋の虹 未曉
外来に農夫田の色みなぎりて 未曉
季語一つ抱き病床夜長し 未曉
秋霖や深夜のネオン濡れそぼつ 未曉 秋黴雨野生孤独や濡れそぼつ 未曉
青栗に少年の目とむず痒さ 未曉
やや寒や指折り数ふ指ほぐす 未曉
取り戻す自分待ちをり朝の涼 未曉
白々と大河一条鮭ホッチャレて 未曉
灯火親し生きてるとのみ書いたけど 未曉
リハビリに不在のベッド秋日差し 未曉
透き通る左半身汗も無く 未曉
消灯に始まる夜長独りかな 未曉
秋朝やひかり血になれ麻痺の足に 未曉
