2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春陰

春霞に誘われて散歩に出ると角々から湧き出るようにウォーキングの人が現れる。のんびり、せかせか、手を振る人、ストックを持つ人それぞれの歩き方で歩いている。私はインターバルで早足とのんびり歩きを交互に歩く。共通しているのは高齢であるということ…

風呂の帰り農道を国道へと繋がる道を左折すると馴染みの低山が真正面に見える。それがはっきり見えない。霞といえばたなびくものを連想するが全体が霞んでいる。これはPMなんとやらという大陸の影響かもしれない。と思えば風呂帰りなのにすっきりしない。考…

蜆が安かったということで今夜は蜆汁になった。一杯分残してもらう。一晩おいた蜆の味噌汁が好きだから。 蜆汁酒にて晴れる憂い無く 未曉

蕗の薹

近所の方から「そこらへんから採ったものだけど」と炊いた蕗の薹をいただいた。「そこらへん」というのが美味しさになる。 うすみどり炊かれて苦き蕗の薹 未曉

残雪

函館の市街地から南茅部地区へ抜けるところへ川汲峠が在る。今は下をトンネルが通り立派な国道が通っているが、昔はこの峠を超えてバスが南茅部と函館をつないでいた。この道路を峠まで歩き、峠から左に少し登ると台場山がある。箱館戦争の時噴火湾に上陸し…

春の宵

3ケ月事の高校時代の部活仲間の飲み会。約十歳年長の顧問の先生も毎回出席してくれる。例のごとく時事問題から身の回りのこと健康のこと年寄りが被害者の詐欺対策と話題はとどまることを知らない。そして帰る人は帰り残る人は残り二次会は馴染みの「街の灯…

春の土

桔梗の丘の春は瑞々しい黒土から始まる。起されて耕され昨日は漆黒の畝の波が歩道の際まで打ち寄せていた。播種の後ビニールの味気ない畑になるまでの美しい眺めである。折からの春の雪が何事も無く黒土になる。 黒黒とまた生き生きと春の土 未曉 眠り姫起こ…

春燈

私は男ばかり四兄弟の末っ子で生まれた。親、とくに母は四人目は女の子が欲しかったようだ。「産着や幼いころの寝間着は女の子っぽいものを着せていた」と祖母が言っていた。 春燈下おはじき上手い男の子 未曉

風光る

私の散歩コースは桔梗インターチェンジをくぐる。そこから函館空港へ繋がる道路の最初の部分が完成した。函館の市街地の最も外側の道路ということになるので、夜ともなれば函館のいわゆる裏夜景を見ながら走ることになる。彼岸の墓参りに使ってみた。 風光る…

彼岸

彼岸の墓地は様々な人がいる。墓に多少の貧富はあるが死ねば皆同じという雰囲気がある所為か、お参りする人がより見えるような気がする。当然私も見られている。 タクシーを待たせし彼岸残る墓 未曉

ツバメの巣

5,6年前、函館空港の東側、戸井の段丘上に畑の広がるあたりを歩いたことが在る。戸井の海岸ばかりを走っているので、これほど豊かな畑地があることに驚きながら歩いた。鹿が飛び出たり燕が軒下を忙しく出入りしたり、牛の声がしたり動物の直接的な存在感…

湖明け

「湖明け」という季語はない。「海明け」はあるがこれは流氷が消えることを指す。温かいところの人が創りだした季語が冬凍る湖やそれが解ける春の到来を待つ北国の季節感を季語として詠まなかっただけの話であり、方言を含めてたくさんの例がある。 昨日大沼…

座禅草

先日いつもの場所に座禅草を訪ねた時はまだ雪の下だったが、今日は顔を出していた。言い得て妙なる名前だ。 沢音を壁といたさん座禅草 未曉

土筆

いわゆるデパ地下の弁当に土筆がさりげなく調理されていた。 土筆だねその一言の炊合せ 未曉

春の日

噴火湾、海も空も青灰色水平線がマスキングテープを使ったかのような薄い茜のグラデーションで引かれた。地球は丸い。 鈍色の海空分けて春曙 未曉

春の雪

春の雪というには少し強すぎる降りもあったが、解ける早さはやはり春だ。 午前中ブログ時々春の雪 未曉

春の雪

雪かきした朝の雪とちがって、午後大きな雪片が舞い降りるように降ってきた。屋根の雪の落ち具合を見ていたら、向かいのご主人が出てきて立ち話になった。この方はご自分でも宣言されたが、この頃とみに耳が遠くなった。 難聴の人の笑顔や春の雪 未曉

雪掻き

重い雪がどっしりと降った。憂鬱な朝が再び始まってしまった。道東の大雪に比べれば不平など言っていられないが、「せっかく消えたのに…」「どうせすぐ解けるのに…」と愚痴をこぼしながら汗をかく。運動不足を補うなどという美辞は微塵も出てこない。今年の…

桜餅

桜餅一口の端で笑む子ども 未曉

榛の花

先日歩いた残雪のバカ常尾根。いつもの絶景ポイントの手前に赤い花を見つけた。裸木の枝先に房状の赤褐色の花序が咲くというより垂れ下がっている。榛の木の雄花序と教えてもらう。山裾と言っていいがまだ雪景色の中で赤い色が印象的である。 青浅き空より垂…

うぐいす餅

自分で買って食べる和菓子がうぐいす餅と桜餅である。柏餅は端午の節句に、ぼたもちは彼岸に買うが食べたくて買うというわけではない。なんとなくお雛様にかこつけてこの時期食べることにしている。甘い和菓子を食べることに春を感じるからだろう。 手にきな…

山笑う

今シーズン初めての山歩き。足慣らしということで、おなじみのバカ常尾根を二時間ほど登った。暑いくらいの日差しに上着を脱いでも汗ばむほど。雪に座っての昼飯が美味い。 山浅く笑い百態根開きかな 未曉

猫の恋

我が家の庭の土を支えている擁壁の上を定時白い野良猫が通る。まるで大家が無為の店子を蔑むような視線を窓の中の私に送って通る。その猫が恋をしたらしい。相手は隣の家で飼われている斑の猫である。ところがこの猫は家を出してもらえない。日当たりの良い…

雛祭り

飲み会がセットの我らがひょうたん句会場として足掛け五年場所を提供してくれた某所がいろんな事情で使えなくなった。昨日の句会後の飲み会はその感謝の宴になった。一人一句挨拶句を持ち寄って披講した。 雛の夜を八瓢ェの楕円句座 未曉 楕円の卓を八人の同…

三月

ふとしたときに小学生の頃、五稜郭公園のすぐ近くにあった我が家の茶の間を思い出す。食卓を囲んでいた6人の内4人はもういない。残された方が少なくなった。退職後人が動く三月は私にとっては亡くなった人を思い出す月になった。 三月や遠くて近き墓話 未曉

未曉句集(二)の七

ケースに入った内裏様だけど、飾って一週間も経てば雛の間らしくなる。そしてひょっとしたことにもお二人の視線が気になったりする。 いつまでも親よと手酌雛の間 未曉