2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

秋澄む

秋澄むや手水で湿す皺の首 未曉

八月尽

八月尽風化の傷み己にも 未曉

西瓜

西瓜余す誰に会ふこともなく日暮 未曉

秋風

街久し老いおちこちに秋の風 未曉

萩の風犬に牽かるる人を押し 未曉

窓閉めて秋に籠もるる眠りかな 未曉

秋麗

幼いときの記憶だが、母はいつも鼻歌を歌っていたような気がする。鼻歌を歌っているときの母が好きだった。鼻歌を歌うという心の状態が好きだったのだろう。母は穏やかな人で感情の起伏を表情にあらわすようなことはほとんどなかった。一度母の財布から10…

盆の月

盆の月痩せて野の花黄を急ぐ 未曉

秋の日

秋の日や席譲られて従へば 未曉

秋の風

いたずらですまぬ一事秋の風 未曉

流れ星

「流れ星」の後は唇だけの声 未曉

とうじ蕎麦-2

蕎麦が来た。ぼっち盛りという蕎麦が馬蹄形に一回分ずつ小分けされて九ぼっちである。とうじ籠に一ぼっち入れ、それを油揚げの浮いた鍋に入れて湯煎するように温める。温まったらお椀に入れ、しゃもじで汁を掛けて食べる。蕎麦は田舎蕎麦にしては軽めに打た…

とうじ蕎麦-1

万緑に道を探してとうじ蕎麦 未曉 蕎麦のことならなんにでも興味を持っていたころ「とうじ蕎麦」と言う蕎麦の食べ方があることを知った。それからしばらくして作家いわさきちひろのエッセイに「ときどきとうじ蕎麦を楽しんでいる」という一文に接した。そし…

伊藤郁子遺作展-2

ある日の編集作業の長机に、岩佐が「伊藤郁子さんの表紙できたぞ」と数枚のスケッチを並べた。一枚の絵が目にとまり、あまり時間がかからずに決まったのを覚えている。冬の函館東高校だが青雲台という学び舎の雰囲気と広がりが十分感じられる繪だった。岩佐…

伊藤郁子遺作展-1

伊藤郁子さんの遺作展を覧て来た。 伊藤郁子さんとは高校の先輩ということのほか、私の亡き母が同性同名で少し親しみを感じていたこと以外にほとんど接点は無い。一年に一回赤光社行動展の会場で一目で伊藤さんの筆によるものだとわかる作品に出会うだけだっ…

台風

台風の道筋にあり睨まれて 未曉

終戦忌

終戦忌登ってないか下山道 未曉

秋の風

行き止まり降りて戻れば秋の風 未曉

秋めく

秋めくや隣家との垣高くなり 未曉

秋耕

秋耕や末生りのもの鋤き込んで 未曉

秋耕

秋起し雨光もて深くまで 未曉

原爆忌

飛び翔てぬ折り鶴二つ原爆忌 未曉

今朝の秋・立秋

今朝の秋一雨止んだだけなのに 未曉

邯鄲

邯鄲の声の他なし闇の庭 未曉

図書館に涼を貪る眠りあり 未曉

原爆忌

8月6日 ここからもドーム見ている原爆忌 未曉

茗荷の子

何をしにここまで来たか茗荷の子 未曉

一日を仕事のやうに汗をかき 未曉

涼し

凍頂の二文字涼し水出し茶 未曉

水出しの茶で息を継ぐ向暑かな 未曉