2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

大野宝亀寺のライトアップされた大枝垂れ桜を見てきた。一昨年日中の花見をしているので今回は夜桜を…と車を走らせた。 一昨年は国道脇に普通の民家に見紛うお堂と塀も囲いもない広っぱのような境内があり、その殺風景に似つかわしくない中に一本豪華な大枝…

季語閑語(二)十

恐ろしいことに景気などという見えないものを隠れ蓑に、落ち目の大国に媚を振りまき戦争ができる国であると宣言してしまった。戦争、紛争で解決するものは今何処の戦争、紛争の未来にはない。憎しみと恨みの連鎖だけである。 臆病が命でありぬ栗鼠の春 未曉

桜草(2)

南茅部尾札部の著保内川林道に入った。小さく狭い川だけれど明るくKuさんとYaさんのカメラも忙しい。豊かな渓相の中を私はのんびりと歩く。乾いた風が強い。Kuさんが時折熊よけの声をだす。私もホイッスルを吹き鳴らす。熊が気になり一人で歩けるところでは…

桜草(1)

ユキワリコザクラを見せてもらった。10年間も暮らした椴法華に連れて行ってもらってである。私が椴法華に赴任した時にはトンネルが穿たれ、それまで使われていた波に洗われる銚子岬を巡る道路は封鎖されていた。まだ使えるように思えたからバリケードを超…

公園直下の駐車場は営業前なのか私達の車だけだった。縄張りだけの簡易駐車場だったが人もおらず駐車料は帰りでもいいだろうと思っていた。しかし二時ころ帰ってきても駐車場は朝のままだった。咲いたとはいえ満開前のウィークデイでは松前は遠い花処なのだ…

[季語閑語未曉句集(二)九

松前は花見の後の余韻が尾を引く。先日これも少し早かったが函館公園の花散策をしたが余韻という点では松前公園に落ちる。五稜郭公園を合わせて考えると桜は歴史とつながると想うことが豊かになるということだろうか。松前の城跡や古刹を彩る桜は妖しくも美…

花人

この時期の松前に来たら光善寺の血脈桜と竜雲院の白たんぽぽは見ておきたい。どちらも古刹である。古いがゆえの傷みが激しいが、部分的な補修の白木や合成樹脂の仁王像がかえって痛々しい。 花衣朽ちし山門潜り来る 未曉

一巡して勝軍山から出ると午後一時。三時間も山野草の花を見、仏像に見られて歩いたことになる。出たところに松前の街が見下ろせるステージのような小さな広場がある。そこのベンチを借りて昼食にする。今日は眼下はまだ桜がまばらだで遠景も霞がかかり絶景…

二輪草

松前公園の北に勝軍山がある。裏山のような佇まいの小高い山で八十八仏を巡る遍路道が山道になっている。毎年松前公園の花見を兼ねて歩いている。今年は例年より十日も早い開花の報せに誘われて訪れた。 同行二人という木柱の入り口から左回りに登って降りて…

残雪

私は4月に旅立てなかったことを二度経験している。その反動か親元から離れることを渇望した4月もあった。そういう意味での本当の旅立ちは十月だった。4月の旅立ちは憧れである。 残雪の峠を超えて故郷出る 未曉

入学

向かいのSさんの家の双子の兄弟が中学校へ進学した。活発で行動的な一人と、控えめでおとなしいもう一人とちがいはあったが遊びも野球の少年団も一緒のことが多かった。入学した中学校への登下校を見ていると、時間差があったり距離があったり、友だちが違っ…

畑打つ

函館の端桔梗野はなだらかな丘陵に畑が広がる。大野平野と呼ばれる水田地帯へ降りていく所で、我が家の西窓からの景になる。そこが今農作業の真っ最中である。たがやされたと思ったらいつのまにかビニルトンネルの海原となり、砕かれて柔らかく畑打たれた春…

山菜採り

俄虫沢に一面のエゾノリュウキンカが咲いていた。崖に切られた一足分の径を辿る。その崖の斜面はカタクリ、イチゲソウ、エゾエンゴサクが覆う。どの花も戻ってきた寒さに花びらをひらけないでいるので少し大人しいが、暖かければ崖も下の湿地もきっと大賑わ…

耕す

厚沢部 ダム満ち満ち里耕され尽くしをリ 未曉

かたくりの花

行くところ行くところにかたくりの花が咲いている。いやかたくりの花が咲いているところに行っている。今まさに羽ばたこうと花びらを後ろに構えたものの飛び立てずにしおれ始めたものも在る。 かたくりの花空色をもてあまし 未曉

風薫る

先日札幌からの帰りの特急で母親の肩にすがって歩く高校生らしい女の子を見た。空いた席に白い杖が残っていた。きっと札幌の街をあの白い杖で歩いてきたのだろうと想像した。雪が消え乾いた歩道、暖かさを感じた日差しの今日の札幌の街はきっと楽しかっただ…

啄木忌

ある事情で一時期大森浜の啄木小公園で一時間余時間つぶしをしていたことがある。打ち寄せる波を啄木の坐像と一緒のようにして眺めていると不思議と退屈しなかった。時には若いママさんと幼児の散歩を、時に高校生のはしゃぎ声を、そして多くは打ち寄せる波…

水温む

水温むといううが春の川のその速さ、透明さに冷たさは禁じ得ない。それでも昨日よりは今日、今日よりは明日と水に温かみを感じようとする思いが、余寒の合間に強い。生きとし生けるもののすべてが水によって育まれるからだろう。 我が胸の地にあるものへ水温…

春の川

先日の行者大蒜を採りがてらの春の山野草散策は、どこも春の川の畔だった。汐泊川、糸川、糸川に注ぐ小川、女那川のどれも流れが豊かで澄んでいた。そして迅い。 運ばるるもの見ゆるごと春の川 未曉

春陰

桜の開花時期が話題になってきた。春たけなわへ歩みが続く中、年齢の所為とはおもいたくないがその春に乗りきれないネガティブさを感じる。健康の事だったり、生活する上での事だったり、政治のことだったり…。単に春という明るさへの反動でしかないのかもし…

行者大蒜

写真撮影に余念のないYamaさんを他所に、まっすぐいつもの場所に分け入る。分け入ると行っても小さな沢の入口から百メートルもない。そいうところだからたくさん密集しているわけではないが、比較的太いものが一年に一回楽しめるほどに採れるので私向きの行…

未曉句集(二)の八

厚沢部町に「土橋レクの森」という国道の直ぐ側の山中に径をつくり自然林の中を歩けるようにした公園がある。この公園に「ヒバ爺さん」「山毛欅ばあさん」と名付けられた古木がある。春近くの峨虫沢のエゾノリュウキンカ他の花見のついでに必ず寄って挨拶を…

余寒

しばらく着なかったフリースの袖なしをいつのまにか着ていた。ぶっかけの蕎麦なども昼のメニューになったりしたが、昨日今日は温かいものの方がいい。 昨夜カレーの薯煮崩れて戻り寒 未曉

余寒

ケニアの学生が乱射の犠牲になった。キリスト教に対する憎しみだという。死んだ学生には全く謂れのない理由だ。 おぞましい予告も付加されて…。 謂れ無き殺戮予告余寒の夜 未曉

月食。近所の屋根の上に出た時は地上の昼の余韻に赤く朧の中だったが、月食が始まる頃は少しすっきりしていた。皆既月食になる少し前、寒いのを我慢してウッドデッキに出ると、春の夜空に黒真珠が置き忘れられたように見えた。 次は三年後だという。妻が「見…

春雷

目覚めから夕方まで雨。これまでは雪になり損ねたかのような、そして遠慮がちの時雨のような降り方だった雨が今日は時折強い風も伴った止む間もない強い雨になった。こんな降りも半年ぶりかなどと思ったりした。夕方少し明るんできた空から雷鳴が聞こえた。…

うららか

暖かな一日だった。午前中僅か五分で済む診察に半日を病院の待合室で過ごしただけに、午後の外の日差しは気持ちが良かった。出かけた先は句会。一人がなかなか来ない。 小半時などと人待つうららけし 未曉

4月

私の社会人としての出発は4月1日ではなかった。他の仲間達が勇躍初任地で教員としての初出勤をしているころ、私は行き場所のない社会へ放り出されたような気分で自宅にいた。伝手を頼って空きや不足のある学校に頼んでもらおうかとか、教員不足だった首都…