啄木忌

 ある事情で一時期大森浜の啄木小公園で一時間余時間つぶしをしていたことがある。打ち寄せる波を啄木の坐像と一緒のようにして眺めていると不思議と退屈しなかった。時には若いママさんと幼児の散歩を、時に高校生のはしゃぎ声を、そして多くは打ち寄せる波だけを啄木もその足先に見ていた。
   一握の砂を坐像に啄木忌    未曉
   佳き街と言ひて四ヶ月啄木忌  未曉