山菜採り

 俄虫沢に一面のエゾノリュウキンカが咲いていた。崖に切られた一足分の径を辿る。その崖の斜面はカタクリ、イチゲソウ、エゾエンゴサクが覆う。どの花も戻ってきた寒さに花びらをひらけないでいるので少し大人しいが、暖かければ崖も下の湿地もきっと大賑わいの花の谷だろう。エンレイソウは数日後は主役になるにちがいない。ひとしきりシャッターを押した後、その花々の間に少し葉を大きくした行者大蒜をいただいた。美しく可憐な花の中からの山菜採りはなにやら盗みを働いているような思いになる。
     一椀の山菜盗るや花の谷   未曉