畑打つ

 函館の端桔梗野はなだらかな丘陵に畑が広がる。大野平野と呼ばれる水田地帯へ降りていく所で、我が家の西窓からの景になる。そこが今農作業の真っ最中である。たがやされたと思ったらいつのまにかビニルトンネルの海原となり、砕かれて柔らかく畑打たれた春の土はこれから儀式でも始まるかのように整然と畝を刻まれ、丘の果てまで幾条も伸びる。
     畑打ちて農道に土あふれけり   未曉