夜になって吹雪いてきた。遅くなった妻が「もうすごく積もってるよ」という。明日は荒れそうな予感がする。夜、二階の窓からいつものように外を見る。高架橋の影の下に函館の街灯りがさんざめき見えるのだが今日は灰色の空間に雪が踊り狂うばかりである。JRの踏切から洩れてくる明かりと、高架橋の標識を視界からはずせば、大きな窓に灰色の雪と高架橋のシルエットそしてそれさえもさえぎるかのような吹雪だけのモノトーンの景色になる。そこに私がまるで窓の外にいるように写っている。寒い。
  吹雪の夜白き沈黙強いられて   未曉
  大ガラス吹雪の夜に吾写す    未曉