雨が降ると窓の外は高架橋と赤茶けた枯れ野だけになってしまう。もしかしたら高架橋だけでどこかと繋がっているかのような淋しさを錯覚する。その高架橋の行方さえも雨の煙の中に消える。
   高速路行方煙りし枯野雨    未曉
  天候にも因るが我が窓外をおおよそ決まった時刻に白い野良猫が通る。夏の間は菜園の葉陰を通っていたがそれもなくなりその道が露わになった。特に悪さをするわけでもないから黙って見ている。向こうも視線に気づくのか必ず窓を見て目を合わすようになった。こちらは見逃してやっているつもりだったが、向こうは違うかもしれない。もうじき一年も終わりだというのに日長一日パソコンに向かっているだけの男を哀れに思っているのかもしれない。そして今日は何か有意義なことをしているかどうか見に来ているのかもしれない。
   野良猫に暇を見られて師走かな 未曉