氷割りをした。雨を含むこの二三日の暖気で物置の雪が落ちた。この物置の軒下は雪掻き時の排泄通路になるので落ちたままにしておくとママさんダンプがままならない。昨日落ちた雪は凍っていないが、それまでに少しずつ落ちていた雪や屋根から落ちた水が凍って山型になっている。今のうちに平らにしておけば、雪が降っても気持ちよく雪掻きができる。
 いざ、剣先スコップで雪を打つとすごい音がする。自分でやっていても頭に響く音だから、近所のおばあちゃんたちには迷惑かもしれない。しかし止めるわけにはいかない。すぐ終わらせるからと思いながら、そしてこれも春への一歩だと思って…などと勝手なことを考えながら氷を割り続けた。カパッと少し大きく地面からはがれたりするとうれしくなる。
  氷割る音は兆しと聞き給え   未曉
  氷剥ぐ地との隙間に水生るる  未曉
 私は「氷割り」は北海道の人間にとって春への序章の一つだと思うが、歳時記には載っていない。ましてや「氷剥ぐ」で春への兆しを感じてもらえるかどうか心もとない。