パンジー

札幌からの高速道路にやがて繋がる函館新道が蒜沢川を渡る所から、蒜沢川に沿って国道五号線まで下る遊歩道が私のウォーキングコースの一部になっている。蒜沢は函館市七飯町の境界で、わたしはその七飯町の際を歩いていることになる。遊歩道は最近できたものだし、車は通れないから家々は裏を蒜沢に向けて建てられ、わたしは川と家々の裏庭の間を歩く。建ててから遊歩道が出来るまでは誰にも見られない裏庭だったろうが、このごろは私を初め何人かのウォーカーに覗かれるようになった。

私は覗くつもりはないがついつい見てしまう。そして見ると詮索するつもりは無いがいろいろ想像してしまう。家を建てた当初はいろいろ考えて作った庭だろうが大方は手入れが放棄されて伸び放題の草に覆われている。

鉄製にタイル天板の円テーブルと切り株を模した椅子、バーベキュウ用の炉などが傷み始めていたりする。いずれ家を建てるつもりで先に仮植された庭木は主人に見られない満開の花を咲かせている。高齢でできなくなったのだろうか明らかに小さくなった菜園にミニトマトの苗が植えられていたりする。○○住宅予定地という表示の草むらに延齢草が咲いていたりして驚かされる。最近空いていた宅地に二、三軒新築された。共通して庭が設定されていない。砂利が入れられたり舗装されたり車のためのスペースらしい。せいぜい丈の低いツツジか何かが一二本植えられているに過ぎない。

そんな中に、草を刈り半坪くらいだろうか必要な分だけ地面を出し、可愛いフェンスで囲って花を植えた家がある。住む人を見たことは無い。

  パンジーやレゴ怪獣のいる窓辺  未曉