アップル温泉が休みなので「明日は谷地頭の温泉に行こうかな」と呟いたら事前に函館山、事後にまる大の蕎麦がくっついてしまった。
 麗らかな巴大橋からの風景、意固地の塊自由の女神を話題に着いた駐車場は余裕があった。宮ノ森コースの木道は乾いて春の木漏れ日を映している。山道は踏まれた雪が一部凍っている。宮ノ森のはずれ碧血碑は日溜まりの中。
  碧血の夢いくたびか草の萌え   未曉

 七曲がりコースには曲がりの部分に番号木札が提げられていた。「七曲がりはいくつまがっているのだろう?」その疑問が今日わかる。いつも、数えるがいつの間にかわからなくなってしまう。私と同じ思いの人たちへ誰の答えだろう。無粋と言えなくもないが…。
  長閑さの尾根に急がぬつづら折り   未曉
 千畳敷への最後の曲がりに展望の開けたところがある。眼下に立待岬津軽海峡の向こうに下北。いつもならそこからまた海峡にもどるが、目は下北の向こうを見てしまう。東北の太平洋岸を襲った海に続いているとは思えないおだやかな海峡に春の潮が静かにうねっている。
  春潮の海峡狭き大蛇行   未曉