湯豆腐

   湯豆腐の箸につかめぬ昭和かな   未曉
 味噌汁に余した豆腐があれば晩酌は湯豆腐になる。だしの素と麺つゆ、ネギを刻めば出来上がる。そして伴って思い出される昭和を肴に飲むことになる。隣が豆腐屋だったから湯豆腐は子供の頃の夕食の定番だった。箸使いが下手だった私は豆腐がうまうつかめず、隣に座っていた祖母がよそってくれた。醤油好きのわたしに鍋の中央で熱くなっている醤油にたっぷり浸して…この頃変に細かなところの昭和時代を思い出す。