天塩岳・沼の平(2)

 4時半頃眼をさまし句をひねくりまわしたり白んできた窓明かりでくちょうにメモしていると、隣の子ども達がおきだしたようだ。一気に賑やかになる。今日は同時間をつぶそうかというほど余裕がある。100KM位の天塩岳登山口に三時に着けばいい。あっちの隅とこっちの隅で部屋をひろーく使って根散るYaさんもKuさんも眼をさましているのかもしれないが起きては来ない。隣の部屋では布団上げが始まった。
   合宿の子の賑やかや布団あげ    未曉
 このヘルシーシャトーでは宿泊者にカップ麺を一個サービスしてくれる。自販機コーナーに備えられた湯わかしを使ってカップ麺を食べた。朝食の提供はできないが…という心遣いなのだろう。けれど、朝食にはならない。当麻の駅近くのコンビニで不足の腹を整えた。天塩岳ヒュッテ集合までYaさんが立ててくれたプランで行動する
 当麻鍾乳洞 一巡り300Mの小さな鍾乳洞だが地球の営みが作り出す不思議さと天文規模の時間の長さは感じることが出来る。小学生に見せるにはちょうど良い。小さな石筍や石柱のすぐ横にあまり似つかわしくない「○○の間」とか「××池」の表示板が立っていた。狭いところなのでカメラアングルをどう変えてもその仰々しい表示板が写ってしまう。何をどう見てもらうかのコンセプトが古い感覚の儘のような忌がした。
 哀別下川線〜岩尾内湖 哀別町のコンビニで今夕食、明朝、天塩岳での行動食を購入して岩尾内ダム湖へ行った。キャンプ場になっていてツリをしている人が何人かいた。熊の危険がありテント泊は禁止になっていた。その後登山口への林道入り口へ向かう途中、Yaさんが天塩川で様子見の竿を下ろすことになった。私はお湯を沸かしてインスタント焼きそばを食べて待っていた。のんびりした旅だ。
 天塩岳ヒュッテには天塩川に沿った林道を20KM入る。二時半頃着いたが駐車場には未だ車が十台ほど残っていた。ヒュッテの二階に私達の場所を得て掃除やら始めた頃、登山した人たちが降りてきて十台の車はどんどん減っていった。冷えてきて部屋のストーブに薪を燃やし始めた頃我らがメンバーが集まってきた。釧路から来たKa三夫妻はヒュッテに上がりもせず早速火を熾している。秋刀魚を焼いて振る舞ってくれるそうだ。毎年豪華なごちそうを持ってきてくれる。私も炭火方を手伝い遠慮無くいただいた。大根おろしに醤油をかけ、それをたっぷり焼けこげた秋刀魚の腹にのせかぶりつく腹の油がとろりと旨い。みんなとわいわい喋りながら握り飯とカンチュウハイで一点豪華の夕食となった。結局ヒュッテには我々グループ八人が二階に、下山したけれどもう一泊していくという人が一人一階に泊まっただけだった。混みに混んでもしかしたら車に寝ることさえも考えたのに少し拍子抜けした。電気がないだけで畳が敷かれ、ストーブが赤々と燃える快適な一夜になりそうだ。
 寝しなに満天の星が狭い峡谷の空を埋め尽くしていた。天の川を何十年ぶりにみた。