夏来る

人の間と書いて人間である。つまり人は一人で生きられないということであり、人と人との間には越えられない「間」があるということでもあろう。近頃人と人の間、人と物事の間に「距離感」という言葉が使われる。わたしのような優柔不断な人間にとって「距離感」は自分の存在を保つ上で必要な感覚だと思っている。距離感がなければたちまち周りに呑み込まれてしまうことになる。嫌いな言葉ではない。

しかし、実際にその間隔をスケールで測られて、足形マークに立たされると鼻白む。コロナにここまで立ち入られるのかと思う。北海道では「新生活行動様式」などと名付けて定着させようとしている。生活行動様式などというお役所お仕着せの様式に縛られ、慣らされる前になんとか終息して、コロナ以前の曖昧で個々人のその時々に合わせた距離感の取り方に任せる世の中に戻って欲しいと思っている。

  人間(ヒト)の間にものさしあてて夏に入る  見曉