和家の筋向かいにTaさんという家がある。その家の庭の隅に見事な栗の木があり、いつも大きな実を付ける。特に今年は実が大きいばかりでなく数も鈴なり状態で感嘆の声が出てしまう。十数軒だけの共用道路なので通る人もあまりいないが、散歩などで通る人はちらちらっと見ていく。ましてや同じ道路に面して住むSaさんの所の小学一年生と二年生の兄弟にすれば気になってしょうがない。
 年寄りばかりのこの町内に宝物のように子どもの声を響かせてくれるこの子たちにTaさんが栗拾いをプレゼントしてくれることになった。幼児があって留守にするTaさんに代わって私が子ども達と一緒に栗拾いをした。私が編集発行する自治会広報紙のカット写真も撮影したいからである。
  栗の実の見えて子の棒届かざる   未曉
 栗拾いは初めてらしく落ちるとすぐ指が出る。痛いとすぐ諦めようとするので足を使ってイガを剥くことを教える。それでも、うまくいかないとつい指が出る。イガの逆襲にあい悲鳴を上げる。私も久しぶりに大きな声で楽しんでいた。未熟な物が多いので未だ実は沢山残っている。
  足先があしらいだして栗拾い    未曉
  つい指が出て栗イガに負け続け   未曉
 明日は十時に約束した。子ども達が通う桔梗小学校はインフルエンザのために学校閉鎖中だ。それも少し気になるが…。