時雨・スーパー(2)

 料理が進化すると当然食材にこだわるようになる。テレビの中で紹介されたレシピで作ろうとすると必ず聞き慣れない調味料とかが書かれている。(代用は何か…)。健康のためには使わない方が良いとか悪いとかの情報も入ってくる。(太る…?)。乾麺一つとっても口にあうものあわないものがある。(今日はあるかな?)。また旬と言われる食材にも食指が動く。(もう少し安くなってからか…)。そしてそれらのどれにも一番大切な要素である「価格」がついて回る。「半額」や「60円引き」シールが貼られたものもある。ことほどさように食材一つを用意するときに考えなければならない事が複雑に絡んでいて脳みそを使わないわけにはいかないのだ。賞味期限は?冷蔵庫に残っているものは?…スーパーの売り場の間を巡りながら頭はフルスピードで回転している。
 だから私は私が作る昼飯のための買い物は基本的に自分で買うことにしている。多少無駄も出るし支出も多くなるかもしれないが「惚けない」ための要素がこんなに詰まっているんだから仕方が無い。
 私のウォーキングコースにはA~Cの3本の基本コースがある。そのどれにも途中にスーパーがある。出かけるときは「お買い物セットポーチ」を肩に掛けて出る。中には折りたたみのエコバッグ、そのスーパー専用のカード、3千円くらい入った小銭入れ、そしてその日に買うものを書いたメモが入っている。時にはリュックを背負って行く。歩きに行っているのか買い出しに行っているのかわからないウォーキングになる。だから帰ってくると、身体だけではない、頭も買い物で適度に疲れて帰ってくることになる。
 「惚けない」為に始めた昼飯作りではないが、「惚けない」ためには昼飯作りだけでなく、毎日の買い物行動も意識的に大事にしようと言うのが私の「惚けない持論」である。
 

時雨るるや老いの相合傘揺れ行く   未曉