新涼

新涼や雨が分けたる昨夜と今朝   未曉

 八月から九月に代わる頃も一時涼しかったから、今朝の涼しさは新涼とは言えぬかもしれないが、この五日ほどの暑さは残暑などと言うものではなく、正真正銘真夏の暑さだった。だから今朝の涼しさは待ち遠しかったし、「新涼」に値する。何かするべきことがあるわけでも無いがなんでもやってやるぞという気分になる。

 70才をを過ぎたばかりの頃、秋を迎えたら体のあちこちに変調を来したことがある。膝が痛くなったり、腹の具合も良くない。ふだん凝らない肩まで重い。風邪の原因となるようなこともしていないのにである。原因は夏にしていたことを漫然と習慣的に続けていたことにあった。涼しくなったのに膝を出しままのズボンをはき、汗もかかないのに氷を入れて水をがぶがぶ飲み、涼しくなったのに体の内外から体を冷やし続けていたからなのだ。若い頃は体が柔軟に対応できていたが、体が老化すると言うことはそういうことなのだと思い知らされたことがある。

 だから私は涼しくなったからといってたいしたことをする前に、膝を冷やさないように長いズボンを履き、体をひやさないように袖の長いシャツを着て 温かいものを飲むようにしなければならない。