私的蕎麦の道(3)・仙台「寿屋寿庵」

 沢山蕎麦屋がある中何処の蕎麦を食べるかはけっこう難しい作業なのだ。参考にしたのは6年前の蕎麦紀行時山形の蕎麦屋で手に入れた「山形/宮城・蕎麦の旅」(広済堂仙台情報センター刊)という一冊である。それまで私は、勝手に秋田 山形 新潟と奥羽山脈西側、裏日本と言うことでつながりを考えていたが、この本で山形と仙台がいろいろな面で近い関係にあることに改めて気づかされたきっかけの一冊でもある。
仙台市では二軒の蕎麦屋を梯子した。大都市で地理不案内の中車で探すことは出来ないので、都心に絞って候補を決めておいた。そこから日曜定休日の店を外し、かつ歩いて移動出来る二軒にきめた。
 「寿屋寿庵」は都心、電力ビルの地階にある。山形蕎麦の伝統の味を味わうことができると言う紹介文が書かれていた。もり蕎麦を頼んだ。山形こてこての田舎蕎麦も予想していたが、太くもなく細くもなくしっとりとした麺が出された。一口啜ると美味しい。蕎麦の香りと味が口を楽しませてくれる。東京から私の口に合う蕎麦を食べていなかったのでことさら美味しく感じたのかもしれないが、もう一口蕎麦だけで食べた。蕎麦猪口を口に当て舌先で辛汁を味見した。甘い。これは山形田舎蕎麦に多い辛汁のような期がした。何度か蕎麦だけでいただいた。そば湯をいただいたが、この甘さは、山形宮城の人たちだけではない、北海道にも繋がる味かもしれないと思った。
 この店の人気メニューを聞くと、「冷やし鶏蕎麦を食べる人が多いです」と愛想の良い店員さんが答えてくれた。しっかりした田舎蕎麦だという。これからもう一軒控えているので我慢した。