「美登利」大石田

takasare2005-07-28

 このあたりは探さなくても、おいしい蕎麦にめぐり合えそうなくらい、「手打ちそば」の幟が立っている。「〜蕎麦街道」も多い。こんなにたくさんあってどの店も成り立っているのだとすれば、山形の人は北海道なんかと比べ物にならないほど蕎麦を食べる人も多いのだろうと思う。
 5年ほど前、娘と山形に来たときは次年子方面の蕎麦を食べたので、今回は大石田の蕎麦を味わおうと考えた。
 大石田の町も主要道路から街中への道路は曲がりくねっていて、この先に町があるのかと思うほど道幅が狭い。そして突然開けて明るい町並みの中に入り込む。大石田の町は新築の役場庁舎を中心に街づくりの途上のようだ。碁盤の目状の区画の宅地はまだまばらで見通しがよい。「美登利」はその中で見つかった。
 美登利の「かもせいろそば」は、今回この旅で食べた種物の中で最高の食べさせ方だと感動した。太打ちの田舎蕎麦ではなかった。十一の蕎麦ということだが、蕎麦の甘さが感じられそば特有の少し引っかかるような舌ざわりの後で広がる香りは申し分ない。そのおいしい蕎麦をふつうの冷たいタレとあたたかい鴨汁の二味で楽しめる。「何もつけない」「わさびをつける、つけない」というバリエーションを加えると小さめの蒸篭二枚の蕎麦も足りないくらいだった。一気に食べてしまうほどおいしく楽しい蕎麦だった。至福の一時と言ったらおおげさだろうか。
 ぜひ道南の蕎麦屋さんにも取り入れてほしいメニューだ。「美登利」の名前は、忘れられないものになった。
 写真はかもせいろそば 鴨汁、辛汁に小さめの蒸篭が二枚