明日は日帰りで今回のトレッキングの最終目的地3900Mのパンボチェである。今晩と明晩はトレッキングの最終宿泊地タンボチェに二泊する。

 夜中身まかなってロッジから外へ出たらエヴェレストを含め、四方を取り囲む神々の嶺が真っ黒な額縁を作りその中は濃淡、人知のおよばない数の星が今にもこぼれ落ちんばかりである。

 ツアーメンバーで一番の若者が高山病になったらしい。シェルパに付き添われて下山した。メンバーのYYさんも風邪っ気というが明日は大丈夫だろうか。私は「駄目になったらいつでも下山するから行けるところまで連れて行って」という覚悟だったが、食欲も落ちること無く絶好調、神々しい星空の地へ迷い込んだ豚のごとくである。

 粗末なトイレで用を済ませ寒さに震えながら寝袋に戻った。

 ここタンボチェには大きなチベット仏教のゴンパ(寺院)がある。夕方赤く暮れ残るエヴェレストの見える広場で少年僧たちが煉瓦色の僧衣をなびかせてサッカーに興じていた。

     エヴェレスト街道

 ヒマラヤに少年僧の春広場   未曉