草紅葉・恵山

   恵山に遊ぶ

 恵山は十年間つとめた椴法華小学校の裏山である。三十年前赴任した直後のゴールデンウィーク、ドライブで尻岸内の方から賽の河原駐車場まで行ったら、小学生が二人いて、一人が「今度来た新しい先生だべさ。俺の妹先生のクラスださ」と話しかけてきた。聞くと椴法華小学校の6年生で、気が向くと家の裏から登って来るという。時々ふらっと登って来れるらしい。恵山は裏山なんだとの思いを強くした。

 私も十年間いたら、全校登山だったり山菜採りに「わざわざ感」はなくなっていた。

 椴法華を離れてからは恵山にもご無沙汰していたが、山歩きを始めるようになってからはミネズオウやイワカガミなどおもに花を訊ねてまた年に何度か訪れるようになった。花が目的だから主峰頂上まで行く必要も無く外輪山を歩きながらそれを楽しむことが多かった。裏山感覚は抜けない。

 昨日は、椴法華十三曲がりコースから岬展望台、外輪山を歩いた。恵山灯台になだれる南東斜面の紅葉の海、溶岩黒に映える紅葉、強い風になびく草紅葉を楽しんだ。

   山の昼餉箸にふれくる草紅葉  未曉 

   鹿道の縦横山に冬隣        未曉

   溶岩に炎ふたたび草紅葉     未曉