海向山

 椴法華小学校の運動会を横目に車を恵風の駐車場に止めた。今日は恵山賽の川原を越えて海向山往復である。出来れば外輪山のミネズオウもカメラに納めたいというロングコースである。一つには七月の富良野岳へのトレーニングも兼ねている。
 恵風からの森林浴コースで十三曲がり登山口へ。海霧に隠れた岬を背に満天星躑躅のトンネルを抜けて賽の川原へ。土曜日で天気も良く人が多い。恵山山麓躑躅も沢山の人を集めているだろう。賽の川原駐車場で既に11時を過ぎていたが、昼食は456Mポコと言うことにして海向山登山口に進んだ。
 日当たりの良い高原歩きから、トラバース気味に登る456Mポコへの山道の周辺は一面の舞鶴草、所々に白根葵が大きな花を風にゆらし、足元に稚児百合が覗く…。苦しいが緑陰の空気が心地よい。
    白根葵花びら色をたゝみおり   未曉

 視界の左に恵山、中央に津軽海峡、右に日の浜から南渡島の山並みを見ながら食べる握り飯がうまい。石に腰掛け、山道に足を置く。その足先に小さな躑躅の木が花を咲かせている。
 登ってきたのが惜しまれるほど下ってまた登り返す。途中、初めて見る花、綺麗、可憐な花、珍しい色の花に慰められて海向山の頂上に着いた。ここの展望はあまり良くないので、すぐ下山。これから向かう賽の川原の駐車場が遠く小さい。しかし歩かなければ行かない。急勾配の下りに一歩踏み出す。ほとんど会話もなく沢まで下り、そこから足を速めてひたすら歩いた。
 賽の川原駐車場に着いて、今度は海向山の頂上を振り返った。高く遠く見えた。いつもならここに車があるが、まだあるか無ければならない。三々五々賽の川原の散策を楽しむ人たちの中を山靴にザックを背負って通り抜ける。じろりと見られてしまう。そんなときは目を恵山に向ける。
   活火山噴煙空を青くして       未曉
   霧の風ガンコウランに止まりけり   未曉
がんばって展望台まで遊歩道を巡ってから十三曲がりを降りた。
   灯台をかかげ恵山や青葉潮      未曉
この登山口にも載るべき車は置いていない。更に森林浴コースを後20分歩く。恵風の庭の満開の鬱時が見えて今日の歩きが終わった。靴を脱ぐときこむら返りを起こしそうになった。足首を靴を履いたままの角度で靴から脱ぎ取った。恵風のお湯でほぐれていくのが自覚できるほど身体を使った歩きになった。富良野岳の訓練になればいいが…。