ききょうの里自治会

 かくして大きな既存町会の一班にすぎなかったわずか22戸による「ききょうの里自治会」という函館市で一番小さな町会が誕生した。昭和が平成になるというころのことである。
 環境美化や親睦、道路維持や研修活動など小さいながら活動してきたが「ききょうの里自治会」の誕生を謀りその活動を支えた方たち皆さんは故人となられた。今も会員は世帯数は21戸と変らないが、少子高齢化が目立ち、活動は低調を余儀なくされている。だから無理なことはやらない。市の町会連合会や他の町会とのおつきあいはできないからやらない。函館市からの広報物の配布や、ゴミ拾など美化に関することなどできることは協力するが、防災訓練とか福祉関係の講習会など組織として対応できないものには参加しない。そう割り切ると小さいことはそんなに悪いことばかりでもない。砂利道がでこぼこになっても市に要望すれば対象道路が短いのですぐやってくれる、災害時、避難しなければならないときは「役員全員で全戸に声をかけてみんなで助け合って避難しよう」と決めている。組織的な取り組みはできないしマニュアル化もできないが、実際的にはこの単純な方が良いのではないかと思っている。小さなことの良さを生かすしかない。お金も無いから除雪を業者に頼むこともできないが函館では雪掻きができなくてすぐ生活に困ることもないだろうからと、困ったら役員に電話して無理な雪掻きはしないよう呼びかけている。6月から10月まで近所の町会の一斉清掃日に合わせて、草刈りゴミ拾いをやっているが、皆さんふだんからきれいにしてくれているので、出てくれる人は限られているがほとんどの時間を自治会の連絡と情報交換の場にしている。これも、義務とか強制ではなく、主旨は「顔合わせ」にある。(つづく)