金魚

 為兼題「金魚」
 金魚と聞けば思いは一気に子供の頃の家の出窓にあった大きな硝子の浮き球で作った金魚鉢に至る。漁業用の緑色した浮き球金魚鉢に泳ぐ金魚は多い時で3匹位だったろうか。母が餌をやり水を取り替えていた。とても重かったので学生時代には私がやるようになった。夜店で買ってきた貧弱な金魚だったが何年か経つと腹も膨れ、大きく豊かな尾鰭をゆらめかせる立派な金魚になった。体が大きくなり狭くなった球型の水槽の中を終日泳ぐだけの金魚に何故か苛立った若い時が私にもあった。
     琉金のひねもす尾ひれひるがえし   未曉