未曉句集(二)の五

  散る鱗零るる腹子鰊割く   
 店先に姿を見ると多少高くてもどうしても食べたくなる魚が秋刀魚と鰊である。中でも鰊は生を焼いてたっぷりの大根おろしと多めの醤油で「美味い」と何度も口に出てしまうほど好きである。鱗の強い鰊を流しの中で捌きながら、早く食べたいという思いが句の勢いに出ている。妻が現職で私が夕飯の支度をしていた三年前の句である。