未曉句集(二)の二

   馬鹿塗りの箸が我が箸雑煮餅
 俳句を始めて間もない頃句会に塗り箸で餅を食べる句が出され「それはおかしい。餅を食べるときは割り箸だろう」という人がいた。たしかにそれはそうだが俳句の感想にもなっていないし、そのおかしみを句にしたのだから当たらない評だと思ったことがある。
 揚句を作ったある正月、津軽塗りの箸で雑煮を食べている自分に気づいた。たしかに食べづらいが割り箸を使おうとは思わなかった。考えてみれば正月というのは年頭にあたりどこか自分の馬鹿さ加減を自認する時でもあるのだ。