年賀状(2)

 手作りにこだわって年賀状を作ってきたが、その印刷手法は私的に時代を反映してる。
 芋版、版画、謄写版シルクスクリーンエッチング、謄写ファックス、ワープロ、パソコン、デジタルカメラとアマチュアに許された印刷手法の変遷そのままである。唯一プリントゴッコは使わなかった。学校という職場にいたせいもある。逆に言えば小学校勤務で仕事として、もしくは教材として取り扱った印刷手法を、時には学校の機器を使わせて貰って作ってきたとも言える。個人ではエッチングプレスなど年賀状のためにだけ用意できない。もしかしたらチョット変わった手法で作ったと言うことを自慢したかったのかもしれない。それを意識し始めた頃から暦年の年賀状のアルバムも始まっている。
 芋版は母からサツマイモを貰って作った。使い終わってから戻したら「絵の具が付いていて食べられないよ」と捨てられた。木版は三色刷くらいまでやったはずだ。謄写版印刷は得意のつぶし技法で楽しんだ。多色刷りをするため絹面を5枚くらい買い、出入りの業者から練り板とローラーが一緒になった教具の版画セットを揃えたりした。シルクスクリーングラフィックデザインに興味を持ち始めたころ展覧会で見たその作品に感動して始めた。カッターに因るシャープな線やインクを盛り上げて刷る明瞭な色での年賀状作りは作品発表のような緊張感もあった。子どもたちに凸版だけでなく凹版も教えたくて教材にしたドライポイントで作ったときもあった。一枚のために色を付けてふき取りエッチングプレスの重いローラーを回して100枚以上の印刷は大変だった。冬休みの教室が作業場だった。
 謄写ファックスやワープロは文字の部分の印刷で使った。私は活字が好きなのでイラストの部分を印刷する物との併用で結構満足度の高い年賀状が出来るようになってきた。
 しかし、今はパソコンである。