八甲田吟(2)

 紅葉樹林帯を越えた山頂部やそれをつなぐ尾根はものすごい風が絶えなかった。重いと思っていた自分の身体が浮き上がる感じを両足を踏ん張ることで尾根につなぎ止めた。飛ばされたら木の葉同じである。人格まで軽くなってしまったような心細さを感じる。
   痩せ尾根に我が身の薄さ北風(きた)の吹く  未曉