アップル温泉へ農道を走る。すでに刈田である。来月の兼題の一つに「鳥威」がある。威し銃も聞かなくなった。この頃ではCDがゆれていたり、金属的な光沢の色テープが風に靡いていたりする。遠いいつかの威し銃の音を思い出すしかない。
 威し銃は規則正しい間隔で音を出す。広い田んぼの空に比してかわいらしい音に聞こえる。何よりも鳥が来ないように鳴り続けると言うことは、2〜3発目以降は鳥のいないところで鳴り続けるのである。見た目には退屈である。何発か聞いているとむなしい音に聞こえてくる。
 ローカル電車が通るとポンと鳴った。鳥を脅すのを忘れ電車を見送った音に聞こえた。
  威し銃電車見送る音もあり    未曉