予定された時刻より早いだろうと待ち合わせの場所へ行くと、もう楽酔さんの車は待っていた。そしてもう一台と合流する西大沼の駐車場にも私達の車は予定時刻より早く着いたがすでにしん玄さんたちは待っていた。何のことはない、今日が楽しみで楽しみで待ちきれなくて…と口にはしないが、そこには遠足の朝の子どもの顔が揃っていた。「○○さん晴れ男かい?」…。学校行事と天気で悩まされ続けてきた男たちの職業病も顔を覗かせる。全員確認、天気良好、遠足モードにスイッチが入った。たったひとつ「俳句を作らねばならない」というちょっぴり苦い玉のようなものは頭のどこかにあるが、「なんとかなるさ」という効き目の薄いヤクでごまかしてしまう。
   草紅葉時速八十北へ行く  未曉
 始めて通った落部から長万部への高速道路で、車窓に流れる法面の見事な草の色づきが即興的に作らせてくれた。作らなければならない・今のうちに作っておこう…が作らせたともいえる。きっとこれは没にするだろうと思った。楽観!。
 ニセコ周辺の山へ来るたびに見て気になっていた「こぶし」を今回の吟行の昼食場所に推薦してその蕎麦やっと食べることが出来た。それなりの蕎麦だったので少し安心できた。
 新見峠は紅葉度2。なんとなくみんなはどう詠んで良いのか戸惑っている様子が窺える。様子ならまだ良い。私は句にならない。
   近くより隣の山の薄紅葉  未曉
 紅葉度2ならば2なりによめばいいのだと言い聞かせながらも句にならない。峠から北側では道端に残っているは雪仁気を取られ、神仙沼に至っては木道につもった雪に転ばぬよう心身共に俳句どころでは無くなっていた。
 「吟行句提出まで後五分」岩内高嶋旅館で句会が始まってしばらく過ぎた。上句二句とも作ったときは出せる句とは思っていなかったが、他の句は出来なかった。今までの句をアレンジしてなどと不埒にも思ったが、いさぎよくあきらめることにした。
 清紀後コピーされた投 句 一 覧を見て誤記されていることに気が付いた。「近くより…」の上五が「仰ぐより」になっているのである。「隣」と対比するには「近く」ではおかしいなと思いながら投句したのに「仰ぐ」になっている。そして「仰ぐ」の方が対比も効いているように思えたので訂正しなかった。誤記ありがとう。一句目は「時速九十」では言葉として正しくないように思えたし、「北へ」の方が語感の端に冬が感じてもらえるような気がしたので直した。
  草紅葉時速九十キロ北へ    未曉
  仰ぐより隣の山の薄紅葉    未曉
 どちらも二点いただけた。吟行句難しい!。さあ!風呂入って飲むどー。