当別丸山の腐れ雪の下山に疲れ、後部座席でうとうとしかかると鳥を狙っていたYamaさんの声がした。広く潮が引いた磯の汐溜まりに白鳥が憩っていた。海の白鳥も珍しいし、函館山の西面をバックという構図なら私のカメラでも撮れそうなのでシャッターを押した。その後、茂辺地の築港でねらったが鳥影は少なかった。おだやかだった磯に波が音を立て始めた。引いた潮が戻ってきたようだ。少ない水鳥の様子もあわただしくなってきた。

   磯に憩ふ鳥に満ち来る春の潮   未曉
 そんな海を離れるとまた春の中。
 登りの心地よい汗、尾根雪の曲面に鮮やかな樹影、狐の足跡を辿るスノーシューの無粋な大きさ、誰の足跡もない頂上は積雪で夏より1M以上も高かった。石造りの立派な天測点の石柱を足下にしての見晴らしが素晴らしい。秀峰駒ヶ岳は春霞の中だがそれも今日の日和にふさわしく思えた。

 運転のYamaさんには悪いが、後部座席でまたうつらうつらになる。