土曜丑の日。平安時代には夏やせに鰻を食することの効用が解かれていると言うことだから、暑いときの鰻の歴史は古い。鰻の脂はいかにも…という気にさせてくれる。歳時記によると、暑い盛りの土用丑の日に「う」の時の着く藻のを食べると身体にいいとして習慣化したのは江戸後期以降という。
    鰻の日父独酌の店ありし   未曉
 父は、今も本町にある「鯉之助」という鰻屋で土用の鰻を食べていたらしい。昔は魚屋に鰻の蒲焼きが並べられることもなかったし、我が家に家族みんなで鰻屋に座を占める余裕などなかったから、務めの帰りいつもの小料理屋の一杯を少し贅沢に蒲焼きで一杯にして自分だけで楽しんだのだろう。羨むことではなかった。
 スーパーに鰻がいつもより高い値段でたくさん並んでいた。父には「粋」を感じるが今の時代は「お祭り騒ぎ」でしかないようだ。
   売り場にも大き支那海鰻の日  未曉