富良野岳・霧中の山(1)

 2006年8月21日に登って以来二回目の富良野岳である。その時は上ホロカメットク分岐から上は往復濃い霧で、終始何も見えない中をただ登ったと言うだけの山行だった。その分期待してのと残だったが…。
 暑さであまり眠れなかったが、何より心配だった腰が大丈夫そうだ。4時には起きて準備完了。5時には外に出て靴を履いた。宿の前から富良野岳が見える。しかし、周りには雲も多い。宿に用意して貰った二食分の弁当をザックに入れて出発した。車で3分。登山口の駐車場に車を停めた。
予定より10分早く安政火口までのアプローチを歩き出した。まだ眠りから身体が目覚めていないのか遅い。Yamさんが急かせるが、多くの登山者に抜かれてしまう。
 安政火口で一休み後いよいよ山道の歩きが始まる。岩と木の根で足元から目が離せないが、マルバシモツケ、エゾノマルバシモツケそしてウコンウツギなどの花が、花の方から迎えてくれる。途中から見えた富良野山頂は雨水雲がまとわりつ着始めた。記憶にある上ホロ分岐の大岩あたりに散らばって朝食を摂る。日の丸弁当の方の飯を食べた。おかずの入れ物もべつにあり、思ったより丁寧な弁当だった。おかずと握り飯二個が昼飯用だ。ここには右側の大岩にロープがあり、帰りにそれで降りた気がするが、今日はない。その代わり左側に足一つ分の隙間で岩の間をよじる登路があった。その岩裾にコザクラがあった。
 小さな尾根をのっこしたり、小さな流れを飛び越したりしながらトラバースしていく。その間は登りも弱い。次から次へとリレーするように様々な花が登場して目を楽しませてくれる。ほとんど疲れを感じないで登ることが出来た。特につい最近まで雪渓が残っていたと思われる所では撮影する人の多さに負けて、休憩になってしまったほどだ。
 トラバースが終わりかけ「後5分で肩分岐ーっ」とYamさんが叫んだ。すると雨が落ちてきた。雨具を着た。登った肩分岐は、昼とは思えない暗さだった。コマクサを見つけた人が声を出す。しかし、目が悪い私には見えない。ここからは尾根を歩くが、二回目に期待した眺望は望むべくもない。

雨は止んだが天上天下、何も見えない。前の人の足を追うように一歩一歩前に進むだけだ。前に進んでいるかどうかも疑わしい。花だけが道連れになってくれている。Ninさんが調子が悪いらしくペースが遅いそのおかげで身体のつらさは全くない。頂上標識を中心に直径10Mの頂上に10:34着いた。その外側は全く見えない。これが子どもの頃身を置いてみたいと空想した雲の中なのだろうか。先に登っていた人。後から来た人。みんなその輪の中で交流し、写真を撮り、食べていた。地理的には北海道の中心であり、高度1912Mの空中である。
 残りの飯の半分を食べた。