啄木小公園の啄木座像をあらためてゆっくり観てみると、彫刻家本郷新の啄木に対する深い理解が感じられる。深くもの思いに沈んで砂浜に坐す啄木の憂愁が繰り返し寄せる波のように観る者に伝わる。逆光になる夕方が良い。顔や胸が暗く影になりそこから今にも貧しく痛々しい生活の歌が流れ出してくるようだ。函館山を背景にしたと言うより夕日に背を向ける啄木になるように座らせたのではないか。
  冬日にも背き啄木座像かな   未曉

 蛾眉野の山道は紅葉が盛りにならんとしている。日没前の一瞬すべてがオレンジ色に発光する。
  夕照かうるし紅葉か雲炎上   未曉