天塩岳・沼の平

 22時に尿意に目が覚めた。寝しな暑くてタイツで寝ていたが外にも出るし、ズボンと靴下を履き上着を羽織った。みんな静かに寝息を立てている。ヘッドランプを点け星空を楽しみに外に出た。階段を降りようとしたら突然小さな光が階段を上がってきた。だれかトイレから帰ってきたかと思ったが全員寝ていたはずだ。思わず後ずさりした私に女の人の声で「起こしてしまって済みません。今着いたものですから」という。女の人一人でこの時間に?と思ったら後ろにもう二人居た。「苫小牧に着くフェリーが遅れたものですからこんな時間になって…」と一人が云えば「なんとしても明日天塩に登らなければそのあとの予定もあるので…」ともう一人が追いかけるように話しかけてきた。私にはどうでも良かったが階段をふさがれているので降りられない。「入れますか?」と聞かれたので、「二階は八人寝ているけれど一階は一人ですから下の方が良いのではないですか」と教えてあげた。忘れていた尿意がせっぱ詰まった感じで蘇ってきたが眠気は飛んでしまっていた。
 寒さのせいか朝までその後2回トイレに起こされた。そのたびに寒さが増し、そのたびに着重ねしてシュラフの中で身を縮めていた。4時少し前もう眠られないと思っていたらKaさん夫妻の声がして、ストーブを焚こうとし出した。早速起きて手伝った。たき付けがない。新聞紙を固く絞るように丸めて薪を乗せた。幸い樹皮がはがれたのでそれを捻って細くし薪の下にいれた。火をつけると燻る。ストーブの前を閉めると吸い込みよく薪が燃える頼もしい音が聞こえだした。ストーブの周りがポット温まる。もう一本薪を入れておこうと蓋を開けたらストーブで薪が燃える音と色が懐かしさを伴って蘇ってきた。いつの間にかKa夫人がストーブの横にいて温まっている。昨夜の星空に続く、しばらく振り第2弾である。