去来忌(九月十日)
 学生時代、信州から京都に一人旅をしたことがあ。京都では同志社大学の後輩の所にとめてもらって次の日嵯峨野を歩いた。当時好きだった歌に誘われて三千院を中心に調べたら、化野の念仏時とか二尊院とか見所がある嵯峨野路歩きという計画に酔ってしまったことによる。まづ二尊院を目指して歩いていて左右竹林の道を浸って歩いてぶつかったのが落柿舎だった。父が俳句をやっていたので去来が俳人であることはわかっていたが特別な感慨はなかった。その佇まいからこの竹林の中の庵住まいもいいなーと思いながら、再び竹林の中を二尊院に向かったことだけは覚えている。しかし40年たって俳句をやるようになってみると、今に繋がる何かがあったのかなーというような気になる。
     去来忌や落柿舎に遇う日のありし   未曉
  温め酒(九月九日)
 この頃から寒さを感じるようになるので、この日に酒を温めて飲むと病気にならないという習いがあったそうである。ちょうどこの日帰郷した娘と居酒屋風の店で食事をした。燗酒は飲まなかったが…。
     温め酒貝焼く炉火を離れけり     未曉