沢沿いを下っていると、梢の先に灯るように白い花が一つ咲いているのを見つけた。Kuさんに訊くと「朴の花、さっきからいい匂いがしているでしょう?」と教えてくれた。それで甘い香りに気づいた。鈍い五感だ。
 こうならなければならない。
   朴一花匂いの果てに来たりけり   未曉
 その隣にまた橡の木が花を咲かせていた。やはり、ツンと立っている姿が印象的だ。
   橡の木の花ことごとく見張りおり  未曉