彼岸なので墓参りをした。ある年の彼岸には雪掻きをしてから墓掃除をしなければならなかったがここ2,3年はそんなことは無い。とくに今日は暖かい。それでも、ゴム手袋でなければ水は冷たいし、蝋燭をともすには風も強い。この風も寒い。涅槃西風というのだろう。墓前に酒とおはぎを供え、手を合わせた。供養のつもりでおはぎを一個食べた。
  つぶ餡の甘さ歯に滲む涅槃西風    未曉
 午後義母のマッサージが終わるのを啄木小公園で待った。車で本を読んでいるとジャージ姿の高校生の一団が騒がしいおしゃべりを辺りに撒き散らしながら車の横を通り、砂浜に下りていった。何人も続いて来た。どうやら何かの運動系の部活のランニングの目的地らしい。先に来た何人かが波打ち際に立っている。様子からおしゃべりはしていない。夫々が沖を見たり波打ち際に目を落としていたり、函館山のほうを見ていたりしている。あのおしゃべりが止まっている。海の力は大きい。
  春の海高校生を訪い続け       未曉