雪掻き(4)

 退職までの6年間勤めようと転勤した金堀小学校でもこの一本道雪掻きは続いた。
 この学校は周りを住宅に囲まれた区画の中央にあり、校地の南端にある校舎に対して、最も多くの児童が通学してくる入り口は北の端にあった。子どもたちはそこから校地の東端の通路を通り校舎に添って右折し中央の児童玄関に着く。東端の通路は校地の南端まで延びていて海岸通り方向からの児童を迎える。その総延長は150メートルになる。西側にある校門の方向へとも考えるともっと延びるが、そっちは牛乳を運んでくる車の轍もあるのでそれを利用してもらうことにする。
 職員玄関前の雪掻きを終えると、そこから東端の通路まで雪を押し、左折してその通路を北へ一本道をつけていく。下が舗装されているので雪が軽いときは押すだけで道はついていく。自分としては真っ直ぐつけているつもりだが蛇行している。所々で押し切れなくなった雪を捨てている塊が見える。この道は並木道になっているので風景としてとても美しい。正直その一本道は、子どもより女性が歩いてくる方が似合う。出勤に通り抜ける女性が歩いてくれたりするとその情景に見とれてしまうほどである。北の端は旧校門が在った所で、競輪通りに繋がっている。そこに登下校時は児童専用と化す押しボタン式の信号機が付いた横断歩道があり、ついでにきれいにする。帰りは、自分がつけた一本道をシャベルを肩に私が歩く。まだ児童は登校してこない。さっき曲がった所からT字を書くように南へ雪を押す。校地と裏の雇用促進住宅との境界まで来ると、住民のどなたかがブロック塀の切れ口まで雪掻きしてくれている。繋がる。
 コの字型のへこんだ所にある児童玄関まで一本道を伸ばし、児童玄関の庇の下をきれいにして私の雪掻きは終わる。そろそろ児童が登校してくる。出勤してきた先生方も雪を跳ね出した。私の一本道を広げてくれている。私は御用済みとばかりにさっさと引き上げる。(続く)