雪掻き(2)

 少し歯ごたえのある雪掻きをするようになったのは、函館に引っ越してきて2年目、現在の家に住むようになってからである。家の玄関前車庫に到るアプローチ30??と北側の共有道路に我が家が面している40??をやるようになってからである。
 朝起きて窓の外を見る。雪掻きをしなければ成らないほどの雪が降っていると着替えの動作が速くなり、雪掻きに闘志が沸く。雪が無いとがっかりするまで異常ではないが、雪掻きが苦にならないことは確かである。雪掻きのシャベルで雪を寄せて小山をいくつか作り、それをいわゆるママさんダンプですっかり捨ててしまう。雪と路面の際は垂直の壁になり、路面は平らになるようにやるのである。幸い、我が家の裏は(もちろん所有者は居るが)長年放置されていて荒地になっている。我が家は傾斜地に様壁を建てて土地を作ったので3mほど高くなっているから私はそこに雪を捨てる。上から落とすので至極楽である。雪掻きで一番の問題は掻いた雪の処理だろうから、我が家は捨て場があるだけ恵まれているのである。時間さえあれば、自分で納得いくまで丁寧にできる。一人暮らしの隣の奥さんが膝を傷めてからはそこの40??もやりだした。汗を掻き、湯気立つ帽子を脱いできれいになった玄関先を見て、「フムフム」とうなずくとき、自分が雪掻き好きであることを認識したのである。雪が激しければ1時間もしないうちに元の木阿弥だし、天気が良くなれば溶けてだらしなくなっても一向に構わないのである。(続く)