毛無山・もみじ2番

takasare2007-10-31

 谷の流れに散り浮くもみじ…。国道の登山口から十分も歩かない所に谷川があり、そこに鉄製のつり橋が架かっている。国道を走る車の音が聞こえる所で渓谷美が楽しめる。昨夜の雨のせいか豊かな水が浅瀬では忙しげに、淀みではゆったり流れている。その水面に落ち葉が浮いている。この情景で小学唱歌「もみじ」を思い出したのである。
 谷の流れに散り浮くもみじ…。岸の岩壁に張り付いている一面の落ち葉と水の流れに従って緩やかに曲線を描いている川面の落ち葉。呼応しているかのごとく片方は留まり片方は流れていく。
 波に揺られて離れて寄って…。水の上に顔を出している石に、たどり着いたように張り付いている落ち葉もあれば、打ち寄せられた岩からまたはがされるように流れの中に戻される落ち葉もある。流れの内か外かで力が違うのだろう。落ち葉は集まってくる。
 赤や黄色の色様々に…。水は公平である。来るものは拒まない。どんな木の葉もどんな色も流れに乗せて運ぶ。
 水の上にも織る錦…。私は子どものころからしばらくこの「織る」を「オール」と勘違いして歌っていた。きっと錦の意味もわからずに歌っていたのだろう。川面一杯の落ち葉を想像させるような歌詞だが、目の前の谷川を見ているとこれで十分な気がする。川の水の色も含めて錦を織り成しているのである。
 毛無山の後半から家に帰ってもこの歌が鼻歌で出てしまう。この歌どおりの山行だった。
 この歌は、音楽の授業が苦手だった私が、唯一二部合唱を楽しく教えられた歌である。理由は、私が小学生時代から忘れずに覚えていた唯一の二部合唱曲だったからである。