室蘭岳

takasare2007-08-23

 7月ガスと強風の中頂上に立ったというだけに終わった樽前山登山の翌日、今日こそはと意気込んで登山口まで行ったものの濃いガスで断念せざるを得なかった室蘭岳にリベンジである。お盆をはさみ3週間のブランクで最初はきつかったが、花観察で休み休み登っているうちに本来のペースで登れた。天気は晴れ、適当に風もあり、こんな日に登れるんだからあの時無理せず良かった。
 室蘭岳は登山口がスキー場や隣接する室蘭市の公園のすぐ上にあり、アプローチや駐車に心配が要らない。911Mの標高のうち、車で400M近くまで登れてしまう。登山口の白鳥小屋から夏山(南尾根コース)を採る。少し急なトラバース道を登ると尾根に出る。室蘭市街、噴火湾、その向こうに駒ケ岳や横津がもやで青くなってやっと空と区別できる。このコースのハイライト、尾根を覆うようにダケカンバの樹林に入った(写真)。道はその中に溶け込むように続いている。青空からの明るい日差しがカンバの木肌に反射して林間を走る。その風を白く感じた。白秋とは言い得て妙である。立ち止まると、自分までカンバの木になってしまい動けなくなるような気がする。少し眼を離すと、YaさんもKuさんも立ち並ぶ木に同化して見えなくなってしまう。ふと小さな寂しさも感じながら秋めく樹林の歩きを愉しんだ。
 キンミズヒキ コガネギク ハナイカリ ヤマハハコ ヤナギタンポポ ノコンギクなど教えられながら写真に収め、いつのまにか樹林帯を抜けて草原状のなだらかな斜面を登っている。帰りに使う予定の西尾根コースとの分岐、カムイヌプリや水元沢コースへの分岐などがある。いろいろなコースから登ることができる山のようだ。駐車場のたくさんの車、十時にはもう降りてくる登山者。たいていの人が足早に降りて行った。ザックを持たない人も多い。函館山ほど人は多くないが室蘭の人にとっては、半日コースの身近な山として親しまれているようだ。
 頂上に下山準備をしている年配の女性がいた。シャッターを押してもらった。「どのコースを?」「夏山コースを登ってきて、西尾根コースで降りるつもりです。」「うあーっ、急ですよ。でも男の方たちだから…」という会話を残して独り下山して行った。北側の展望は良くないが、残る三方は青空の下、噴火湾の大パノラマが広がっている。Yaさんは北東方向に下りていく道を偵察に行ったようだ。Kuさんは3Mほどの高さの銀色の支柱に吊り下げられた鐘の紐を遠慮がちに引いて澄んだ音を響かせた。その鐘は真っ青な空から直接吊り下げられているように見えた。
 昼食には少し早い。下山途中に場所を見つけることにして我々も降り始めた。分岐は西尾根コースに採った。