三角山・ピリオド(2)

 三角山まで来たのだからと袴の頂上で飯を食うことにしてしっかり刈り払われた道を登った。頂上には我々が5月に建てた頂上標識だけがあった。きっとサンモリッツクラブは我々の標識に敬意を払ってくれたのかもしれない。いや、きっとそうに違いない。われわれが建てなければ、登山口と対を成す電柱のような支柱に一枚板の立派な標識が建てられたと思う。道立自然公園のスタートに水を差したのでは?と少し恐縮する。「もともと素人が作った標識です。朽ち始めたら遠慮なくウッドペッカーのイラスト入り頂上標識に変えてください。ついでに、横津岳の頂上標識もあったほうがいいと思います。」
 もう、これでピリオドを打とうと思う。もうこれ以上は差し出がましいのである。Waさんが「誰でも登れるアメダスコース」を目指して普通のことのように独りで始めた笹刈り。ひきずられるように手鎌で参加して3シーズン。いつの間にか不遜にも「オラが山」感覚を持ってしまって方向標識や頂上看板などを作っていた。「ボランティアも大変だね」と家内に言われながら、今日は目立って道にかぶっている笹だけを…とYamaさんと言いながら、つい汗だくになり、鎌の刃がこぼれるまでやってしまっていた。Sakagさんの人脈を通して人が増え機械が増えて「さすが数」「さすが機械」と今年以降の整備に意は強くしていたがそれをやらなくていい。行政が作った道は親子が手をつないで登れる道になっている。はじめ、Waさんが子どもなら隠れてしまうほどの笹から出現させた道とは違う。ましてや私が手鎌でやることではないのである。いい形でピリオドが打てる。
 でも。
 Waさんは、道を塞ぐように根を張っていた道南を北限とするアサギマダラ蝶の食草であるヨツバヒヨドリの木を避け、軽やかに刈り払い機を迂回させて道を作った。ガスがかかって夕方になり、頂上近くまで刈り進んできた手鎌隊は疲れ切っていたにもかかわらず笹の間から顔を見せている竜胆を切らないように、笹を一本一本つまんで刈っていた。そ言うやさしさにもピリオドを打つことになる。今回、整備された道は、ヨツバヒヨドリを迂回はしていなかったし、竜胆も切られていた。
 親子が登れる道を作ると言うことは、親子でアサギマダラのことを話したり、リンドウの美しさに触れることだろうと思う。それが道立自然公園に指定することの本旨だろうと思うのだ。
 みなさん、函館の最高峰「袴腰岳」にぜひ登ってみてください。横津コースもいいですが、アメダスコースは山登りのスポーツ感や林間、笹原、急勾配など山道の持つ独特の雰囲気が頂上に立ったときの達成感をより深いものにしてくれます。アサギマダラに逢えるかもしれませんし、時期さえあえば桜で小さなお花見もできます。きっと竜胆も残っているでしょう。親子でぜひ登ってみてください「ピリオド」