静狩湿原・行ってみなくちゃ

takasare2007-07-18

 「行って見なくちゃわからない」まさに、この静狩湿原がそうだった。何回も通った国道36号線の静狩海岸直線道路。追い越すとか追い越されるかだけ考えていた道路のすぐ横に乾燥化を辿っているとは言え、細々ながらも自然の営みがあった。(看板に書かれていたからかまわないと思い…)トキソウヒツジグサ。ミツガシワなどなどが点在する小さな池を中心に見られた。
 隣のキャンパーの明け方までの馬鹿騒ぎに寝不足状態で4時半には支笏湖畔のテントを畳んだ。隣の連中に文句も言わずに6時前に出発した。目指すは室蘭岳だったが、やっと探し当てた登山口は濃いガスが漂い、八方視界不良、寒い中濡れるしかない登山は断念した。登山口は室蘭ダンパラスキー場下のロッジ奥にあった。駐車場が広い。負け惜しみのように「この次のリサーチだ」と誰かが言った。さて、このまま帰るには速すぎる。そこで、提案されたのが「静狩湿原散策」である。
 静狩湿原の概要がペンキ字で6行書き添えられた看板がある。田んぼのように一段低くなっている湿原の広がりの中に足を入れる。途中、2〜3人の女性を見た。来る人は来ているのだろう。私たちの足の先にも細い踏み跡がついている。湿地だ。足が沈む。水が染み出てくるほどではないが土だけではなく、草も低木の根もやわらかくひ弱そうで足を置くたびに申し訳なさが付きまとう。Kuさんがまず「池がなくなっている」と声を出した。池の形はあるが、水たまりも無い。底の土が黒く、湿っていることを教えてくれる。ミツガシワが頼りなげにそこから茎を伸ばしている。恐る恐る足を進める。モウセンゴケの群落が赤紫の敷物のようだ。慎重に足を運びながら「トキソウ」を探した。もう終わったらしく無い。どんなものか、花が終わったもので学習してから探したが私に見つけられるはずも無い。ようやくKuさんが、そしてYamaさんが見つけたものを写させてもらった。
 湿地の乾燥化は自然破壊のバロメーターと聞いたことがある。まだ水のある池と水がなくなった池。私が立っているところはついこの前水がなくなった池なのかもしれない。足元に生きる動植物についての知識は無いが、その危機感は感じることができた。ふと顔を上げた。海岸の国道を車が走っていく。山側には高速道路がある。
 行ける所に「行って見なくちゃわからない所」があった。