ほの家 中央区役所傍

 いつものように地下鉄西11丁目で降りてホテルへ向かったら「十割蕎麦」の幟が目に入った。ビルの地下に降りていったら、小さな店で、酒と蕎麦を愉しむコンセプトの店らしい。準備中のようだ。ススキの辺りまで出て、この前の店を探し、そこで一杯飲みながら晩飯を…と思っていたが探し回るのが面倒になり、即刻ここに決めた。
 ホテルで一休みしてから出かけた。店は開いていたが暖簾も出ていないし「いいですか」と声をかけると「どうぞどうぞ。今晩は休みで夕方から仕込みなんですが、おなじみさんがそれでも良いからというのであけました。メニューでお出しできないのも有りますがそれでよかったら」と丁寧な返事だった。
 山葵菜のおひたしのお通しで八海山を愉しんでいると、さばの味噌煮が出された。今日ゴールした藤田選手は店主の息子が少年団で一緒だったそうだ。「ジャズはお好きですか」と聞くので「特に…」と答えると、「じゃあテレビで良いですか」という。話し方にいやみがなく、人柄が良い。そのうち、かのなじみ客らしい二人連れが来ると、テレビは消音しスローなジャズをかけ始めた。ジャズの流れる中で酒と蕎麦を愉しむ店らしい。なるほど…。
 蕎麦は「十割なので手打ちだとどうしても中がヌタッとして…」という理由で機械打ちということだ。歯ごたえ重視のすっきりそばだ。案外掛けそばなら私好みの美味しさになるかもしれない。たれは甘目だがそばにはあっている。そば湯がポットで出されたが濃い目で美味かった。別製だからポットなのだろう。帰りに帆立のうろの燻製をもらった。「珍味ですよ」といっていた。
 腹には少し不足だったので、コンビニで寿司を買ってホテルに帰った。札幌に来たときの一つのパターンになるような気がする。