蝦夷編 訓子府「風花亭」

takasare2006-10-11

2006/10/04
 夢破れたとはいえ「ふるさと銀河線」にかけた町らしく、廃線を抱いた訓子府駅はかわいらしくきれいで、それに続く町並みも明らかに人工的だが明るく楽しげである。その駅前に「風花亭」はあった。店主のこだわりが大書されて店頭を飾っている。紙ではない、木製墨書塗装仕上げの堂々たる看板である。店主の意気込みがうかがえる。
 二八そば・600円 十割そば・700円とある。情報を得た本によると「一茶庵」で就業したとのことなので、二八のもりそばを頼んだ。見た目すっきりした仕上がりのよさを感じさせるそばが出された。Yaさんは十割のもりそばを頼んでいたので、一口啜らせてもらった。田舎蕎麦風に黒く太い。
香りはそれほどでもなかったが、田舎蕎麦に期待される歯ごたえ、腰の強さは楽しめそうだ。温かいかけ汁の中でなら香りが楽しめるかなと思って、追加で十割のかけそばを食べたが、今ひとつ物足りなかった。この香りを求めるのは私的な好みなので仕方が無い。十割そばを田舎そば風に打つのは逆に、二八へのこだわりなのかもしれない。
 香り、角が立ってることによる舌触り、少し辛目のたれと絡んで口の中であわ立つような味。濃い目の蕎麦湯の最後の一滴まで美味しくいただいた。
 北見に近いとはいえ、廃線により切り離された小さな町の駅前で店を維持できて行くのはこの味だからだろう。こだわりの看板にエールを贈りたい。