学大山の会「黒松内岳・狩場山(2)

takasare2006-08-04

 KaCLの指示に対して学生時代共に山行した男たちは、口ではいろんなことを言うが、その指示通り行動する。「山岳部」で培われた「縦関係」なのだ。山登りはどんな山でも危険が隣り合わせにある。熊に遭遇する危険、道を見失う危険、暑さや寒さで歩けなくなる危険、捻挫や骨折で歩けなくなる危険、崩落、落石などの危険、雨や雪による体力消耗の危険などなど。そして、一人でも歩けなくなったとき前進するか撤退するかも含め高度な判断が要求される。判断は一つしかないから、最終判断は一人がすることになる。「縦関係」の大切さのゆえんである。おじさんおばさんの中高年おしゃべり登山会でもこの危険に遭ったり、判断を要求されたりする場面はいつでも一歩先に待っているかもしれないのである。
 翌日狩場山へ登った。下は晴れているのに登山口へ来たら霧が出てきた。渡島半島の付け根、もっとも日本海に突き出ている所にそびえている狩場山だから、どんなに晴れていても雲が湧き雨が降ることもある。霧は当たり前だ。ザックに入れない予定だった雨具を持つことにして出発した。途中4合目辺りで少しぱらついたとき、KaCLに「何か着よう」と声をかけられヤッケを着た。ヤッケは雨より、寒さ対策に役立った。前日同様のかんかん照りの汗だく登山を予期していた我々は、むしろこの霧を喜んだのだが登りでの汗が余り気持ちよくなかったのだ。私は、寒い暑い、汗をかく、喉が渇くという体の変化や要求を自分のこととだけ考えてしまうが、リーダーたちは、経験的にみんなもきっと…と考えることができなければならないのだ。
 第一花畑を過ぎ、真駒内コースとの合流点の辺りに大きな雪渓が横たわっていた。登山道が雪渓の下になってしまっている。山道部分から上に50m、下に10m、幅は30mくらいの雪渓である。大体はそのまま雪渓の上を歩くのだが、斜面が急で滑落必至なのだろう。霧で見通しも悪く道が見つからない。そこからが見事だった。二言三言CLと二人のSLの間で言葉が交わされるとKaさんは雪渓の割れ目に沿って上に道を探し、YarSLは雪渓の下を巻いて雪渓の向こうへ…、YakSLは迂回路との分岐を見逃したかもしれないと今来た道を戻って道を探したのである。残った10人ほどは行き先を決められない羊のごとくその場を動けないでいた。(次の日へ)